2019年10月31日、沖縄の世界遺産にも登録された指定文化財、「首里城」が原因不明の火災により全焼してしまいました。
観光スポットとしても知られるこの首里城ですが、沖縄のシンボルとしても住民からも愛されていたため、今回の事件は世間に衝撃を与えました。
そこで気になるのが、今後首里城の再建はあるのか?また世界遺産は、はく奪されてしまうのか?ということ。
そのあたりを記事にしましたので、参考にしてください。
以下記事では今回の事件に対する反応をまとめています。
もくじ
【首里城】再建の予定は?費用は?

©日本経済新聞
まず今回の首里城燃焼の事件に関して、衛藤晟一沖縄担当相は
「沖縄のシンボルである首里城が全焼したことは本当にショックだ。首里城は沖縄の文化や伝統、歴史が凝縮しているまさにシンボルであったのに。」
と述べています。
また、「国土交通省や文部科学省とも十分協議して、沖縄県とも相談しながら進めていきたい。内閣府として音頭を取って、一刻も早く再建しなければならない。」
と再建に関して前向きな回答を31日の午前、取材に応じました。
また、高良倉吉・琉球大学名誉教授は「ショックが大きすぎて、今は再建のことは考えられない」とコメントしており、沖縄県にとって『首里城』の存在の大きさがうかがえます。
しかし『首里城』は日本のみならず、外国の観光客にも人気のある、沖縄有数の観光スポット。
今回の事件で沖縄県の観光業に与える影響は莫大なものになるでしょう。
再建にかかる期間は?

実はこの首里城。
1945年、沖縄戦の時に完全に破壊され1980年代から本格的な復元が行われていました。
なので現在(今はもうありませんが)の形になるまで40年近くかけて再建されていたことになります。
また沖縄県は毎年台風の影響を受ける地域としても有名です。
一言に再建といっても、いつ来るかわからない台風に備えながらの作業は想像を超えた苦労でしょう。
昔より技術は進化しているとはいえ、国からの予算がでれだけでるのか、災害などの外的影響を含めると20~30年は再建にかかることが予想されます。
しかし、沖縄のシンボルとして地元住民にも観光客にも愛された『首里城』の再建を願う声は大きいです。
国からの予算がある程度確保できるのであれば、今の技術であれば作業は順調に行われるでしょう。
首里城再建の費用は?

ここで重要になってくるのが、『首里城』再建に対する費用がどれくらいかかるかですよね。
1980年から本格的に始まった最初の『首里城』再建事業。
物価上昇や災害対策なども加わり、最終的には100億円を超えてしまったようです。
2019年沖縄県の予算は7349億円。
額だけ見れば余裕かもしれませんが、これは人件費や投資的経費を含めた額なので新たに『首里城』の再建の予算は含まれていません。
今後具体的な予算が組まれる、住民や国の同意を待つなど再建に着手するまでの時間がかかるのは必然ですね。
しかし、冒頭でも述べたように『首里城』は沖縄県のシンボルとして国内外の人々から愛されている存在。
出来るだけ早い再建を願う声が多いので、時間はかかるかもしれませんが再建される可能性は大いにあります。
【首里城】世界遺産は、はく奪される?

『首里城』は国の指定文化遺産として2000年12月に「琉球王国のグスク(城)及び関連遺産群」として世界遺産に登録されました。
ここで注意したいのが、この世界遺産登録。
ぼくたちが知っている『首里城』自体の登録ではなく、『首里城跡』での登録ということ。
つまり今回燃えてしまった『首里城』だけでなく、首里城を含む土地が登録の対象なんです。
なので今回の事件で燃えてしまったのは首里城ですが、実際に登録されている土地は消えずに残っています。
この辺りが今後の『首里城(跡)』が世界遺産からはく奪されるかどうかの論点になると予想されますね。
世界遺産の定義

日本ユネスコ協会連盟によると世界遺産とは、
有形の不動産を対象として、歴史上重要な段階を物語る建造物や、文化的伝統または文明の存在を伝えるものとして唯一無二な存在である
ことが定義づけられています。
『首里城(跡)』に関しても沖縄県の文化や自然を後世に残すためのシンボルとして人々に認識されているので、世界遺産として登録されました。
しかし、今回の事件で主たる『首里城』が燃えてなくなってしまったので、世界遺産から抹消されることを心配している声も多いようです。
世界遺産抹消されたケース
ここで世界遺産から抹消されたケースを紹介します。
しかし驚いたことに世界遺産の登録が取り消されたケースは、歴史上2件しかありません。
そのうちの1件をもとに、今回の『首里城(跡)』の世界遺産登録抹消を考察します。
アラビアオリックスの保護区

1994年、オマーンの自然遺産として世界遺産に登録されました。
アラビアオリックスとはユニコーンのモデルともなったウシ科のオリックス属の動物で絶滅危惧種として知られていました。
このアラビアオリックスの育成をするため、オマーン中央部の砂漠地帯を保護区として設定し世界遺産認定を受けました。
しかし、オマーン政府は油田などの資源開発のため2006年ユネスコに保護区の縮小案を提出。
これをうけ調査団が現地に派遣されたところ、全65頭いたアラビアオリックスが4頭しか存在しないことが判明したのです。
ユネスコは「アラビアオリックスを保護・管理を続ける能力も意思もない」と判断し世界遺産からの登録抹消を発表しました。
このことから、世界遺産に登録後「保護・管理する意思がない」と判断されると登録を抹消される可能性があるということがわかります。
つまり、沖縄県、ないし日本全体が『首里城(跡)』の再建をあきらめ、単なる土地として認識し、今後管理しないことになると、ユネスコのメスが入り世界遺産の登録抹消という可能性が出てきてしまいます。
約100億円という莫大な費用が掛かってしまう事業であるため、簡単に再建できないかもしれません。
しかし、日本でも貴重な世界遺産を守るためには、今後再建の意欲を提示し続けなければ登録を抹消されてしまいます。
『首里城(跡)』は沖縄だけでなく、日本の世界遺産でもあるのでいち早く再建の予定・計画を立ててほしいものです。
まとめ

以上で『【首里城】火災燃焼 再建は?世界遺産はく奪?』を終わります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
沖縄県のシンボルとして存在していた『首里城』の燃焼事件。
再建には相当な時間がかかると予想されますが、みなから愛されていた首里城を再建していほしいという声はとても多いです。
ぼくも、またあの場所で雄大な『首里城』を望めることを願っています。